しんかんの 「しらとりくんは てんこうせい」 どうぞよろしく おねがいします
自伝的、って作品紹介に書いてあり、まあ半分そういう要素もありますが、舞台は現代です。主人公というか語り手のイメージは目黒雅也さん。しらとりくんは私自身ですが、すっきりソングの本田まさゆきくんのイメージをちょっと混ぜてあります。
どこが一番自伝的かというと、転校がちだったところですね。住むところや暮らす土地、に私が興味を持つのは、そのせいかもしれません。
記憶は土地につく、みたいなイメージがあるんですよ。その土地を離れると、色々忘れてしまう。幼少期の記憶がほとんどないんです。ほとんどない記憶をふりしぼって書いた、こども時代の短いお話です。
転校生チルドレン、って本を出したいとデビュー当初から思ってきました。『君の鳥は歌を歌える』参照。今、こんなかたちで転校生の本を出せるの、うれしいです。
『しらとりくんはてんこうせい』発売日は偶然、住所を知らない息子が18歳になる日です。うるう年の29日うまれ。私と遺伝的に近いせいで苦労してたりするのかな。万一ここを見たら連絡ください。
赤錆のポストがよくて借りている家賃四万円のアパート
枡野書店は仕事場として借りて、最初は雑貨や古本を売ったりしていました。「テレビブロス」「散歩の達人」「#FIGAROjp_culture」などに取材していただいたりして。
本業で色々あって、芸人活動を始めたりやめたりして次第にまったくオープンできない店になり、生活サイクルが乱れ、枡野書店に寝泊まりしていた時期もあります。銭湯通いでした。
阿佐ヶ谷の開かずの扉「枡野書店」【街活!東京ローカル】第6弾 | Marina Oku
店の近くにアパートを借りることにしたのは、2016年の春でした。風呂つき四万円という破格のアパートの間取り図が、近所の不動産屋さんにずーっと飾ってあり、借りたいけど枡野書店とアパートの家賃を両方払うのは難しいかもと、ずっと迷っていました。私は東京のはずれに実家があり、そもそも仕事場を借りてるのも自己満足ではと言われればそうです。実家暮らしのフリーランスって多いですよ。
自分に合わない仕事を避けに避け、好きなことだけをして暮らすというのが人生のテーマなので、年収が高かった年も低かった年も、生活水準はあんまり変わっていないと思います。
そうこうしてるうちに、色々なご縁のある作家のまついなつきさんが、近所でウラナイ・トナカイという店をオープンしました。
前々から、枡野書店こそが占い師のかた(またはマッサージの仕事をしているかた)にぴったりの空間ではと感じていたので、もしかして枡野書店で占いをやりたいかたをご存じありませんかと、まついさんにメールしたことから事態が好転しました。
詳しくは『愛のことはもう仕方ない』にも書きましたが、そんなこんなで枡野書店を定期的に活用してくださるかたが複数あらわれ、それを機にアパートを借りることにしました。
しかし四万円のアパートを借りるとき、私がまず駆け込んだのは、その近所の不動産屋さんではありませんでした。
つづく。→ 収入が全然ないが借りに行く家賃四万円のアパート - 歌人不動産
泣かす気もババロアを買う筋合いもない真夜中の中杉通り
枡野書店の部屋を借りることにしたとき撮影した動画。からっぽだと広い。
有名なベーグルっていうベーグル屋さんの跡地だったことは、借りてから知りました。ベーグルは、よしながふみさんの漫画にも登場した店です。
『ショートソング』の企画を一緒に考えた弟子の歌人、佐々木あららの実家が近所だというのも、借りてから判明。
近所の谷川俊太郎さんが予告なしにいらっしゃったときの動画もあります。
タイトルにした短歌は、中杉通りにあるシュガーローゼという、真夜中にあいているケーキ屋で詠みました。
シュガーローゼ 本店 〜季節の果物たっぷりのケーキが人気。深夜まで営業しているパンとケーキのお店 |
新高円寺にあるメルベイユっていうケーキ屋さんは昔、枡野書店の場所にあったんだそうです。店名も、枡野書店の建物「白い家」オーナーさんの旦那様が命名したとの噂。
▲最近の枡野書店。毎週月曜15時から22時まで佐々木あらら店番の「夜の図書室」。
わけもなく家出したくてたまらない 一人暮らしの部屋にいるのに
ああそうだ、このブログの最初に書いてもいいくらいのことを忘れてました。私は昔、 CHINTAIのCMに出たことがあるんですよね。テレビCM、ラジオCM、駅貼ポスターなど。主演は加藤あいさんです。
嘘みたいでしょ。自分でも普段は忘れてるんですよ。昔は自己紹介のときに自分で言ったりもしてたんですが、「そんなことを自分で言う人は嫌われる」(要約)と歌人の穂村弘さんに直接おしえていただいてから、あまり言わなくなりました。なんで嫌われるんでしょうね、単なる事実なのに。うらやましいからなのだろうか。私は失礼ながらCMに出るまで加藤あいさんを存じなかったのです。今はファンです。
▲その穂村発言が載っている対談本です。近影はアラーキーに撮っていただいた。
そのCMで公募した「いい部屋みつかっ短歌」を一冊にまとめるにあたって、そのままではだれも読まないから初心者向けの短歌入門書として仕上げたのが以下の本です。「部屋探し」「引っ越し」に関する短歌ばかり百首も紹介してあり、技術的なちがいをくらべるのにぴったり。実際役に立つ入門書になったと思っていますが、「部屋探し」「引っ越し」に関する短歌ばかり載っている、と不満をもらす人が多いのはなんでなんでしょう。最初からそういう本だと明記してあるのに。
▲この本でイラストレーターの後藤グミさんがメジャーデビューしました。
▲流れで、こんな本も発見。 未読。
CMに出てから十年以上たって、CHINTAI主催のトークイベントに「本と雑談ラジオ」を呼んでいただいたりしました。週刊だったCHINTAI、今は月刊だそうです。
第4回読者イベント【本と雑談ラジオin今野書店】はじまってます。雨にもかかわらず会場満席。
— CHINTAI編集部 (@chintai_edit) 2017年8月1日
部屋を紹介してくれた不動産屋に後日部屋の感想を送りつけるという枡野さんのトークに一同爆笑です。#本と雑談ラジオ #chintai
そうなんですよねー。内見した部屋の感想を長々とレポート用紙に書いて、FAXで不動産屋さんに送っていました。正直、やばい人ですね。今はそんなことはしませんが、ブログには書くかもしれません。
阿佐ヶ谷の枡野書店の建物は白い家っていう名前です
この部屋は、仕事場である枡野書店のななめ上に位置します。2017年現在は入居者がいらっしゃるので、お問い合わせは受け付けておりません。
こういう動画を自主的に撮ったりする性質を活かして、そのままユーチューバーになればいいのにと思ったりもしますが、機材の扱いが一人でできないのがネック。
私の動画で入居者が決まったわけではないということは明記しておきます。
うちの物件を動画で紹介してほしい、という仕事の依頼があったら面白いな。ただし、いいと思えないところをいいと言ったりはしないので、どうぞよろしくお願いします。
枡野書店での日々を書いた本。
不動産関連本を読んでます お金のことがよく書いてある
ラジオ番組『本と雑談ラジオ』の不動産情報が面白い。
— 別ミルメ - 新しいモード (@another_mirume) 2017年9月23日
というツイートがありました、ありがとうございます。
友人のアパート経営を手伝うにあたって、結構たくさん不動産関連本を読んでいます。古泉智浩さんとのPodcast「本と雑談ラジオ」で、不動産本の話をしてるのは、これとかですね。
▲これが最初に紹介した不動産本です。加藤ひろゆきさんはカリスマ的存在みたいだ。
なお、友人が管理している木更津のアパートに関しては、ここにも書きました。
その後も引き続き不動産本にハマっていきます。
地元のボロ木造物件を再生して「家賃1500万円」を稼いでいます! ~首都圏でも手取り利回り25%
- 作者: 上総百万石
- 出版社/メーカー: ごま書房新社
- 発売日: 2014/10/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
▲これが引き続き紹介した不動産本。著者は加藤ひろゆきさんの後輩的存在らしい。
いい不動産関連本がありましたら、読んでみたいので、是非おしえてください。
以下は最近買って、これから読む本。
感想は忘れたころに、また。
その家は「死なないために」つくられた つくったかたは亡くなってます
死なないための、というテーマを持つ家の内見に行きました。
ここは昔、完成したころに作家の保坂和志さんたちと大勢で見学に行く予定だったのですが、私が当日に体調を崩して欠席したんですよね。住所は三鷹ですが、武蔵境からタクシーに乗りました。あいにくの雨模様。
▲床は大人と子供の土踏まずに合わせて、大きく小さく波打っています。
▲内側が青いカプセルみたいな部屋は、中にいると落ち着きます。
▲シャワーのみ湯船なし、トイレのしきりが布、オール電化、などは好みが割れそう。
▲畳の下に収納が。天井に色々ぶら下げされます。
▲エマニエル夫人のような椅子。ハンモックも設置できそうです。
▲まるい畳は、複数で座ると、自然と「円座」に。
▲ビー玉が埋められた門。一緒に行った友人が、とても気にいっていました。
▲共有部分もカラフル。ここまでの写真はすべて友人が撮りました。
▲私が撮った外観。有名な家なので、写真はご覧になったことがあるのでは。
私はR不動産経由ではなく、直接スタッフのかたに予約しました。
昔ある作家のかたと見学に来る予定だったんですよと話したら、スタッフのかたは保坂さんたちのことをよく覚えていらっしゃいました。私の仕事場「枡野書店」にもいらっしゃったりする谷川俊太郎さんは、この家の作者である荒川修作さんと交流が深かったようです。
三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために―荒川修作+マドリン・ギンズの死に抗する建築
- 作者: 荒川修作
- 出版社/メーカー: 水声社
- 発売日: 2008/04
- メディア: 大型本
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
友人たちとシェアできないかと思って見学し、皆それぞれ面白がってくれたのですが、都心へのアクセスがネックで、残念ながら借りるには至りませんでした。部屋の中で毎日こもって考えごとをするような仕事には向いている気がします。実際に部屋を利用されているかたの実感として、冬は床のコンクリートが冷たく感じるので、補助的にストーブなども利用しているとのことでした。逆に夏は快適そうです。
数日単位で貸し出しをする部屋もあるので、興味あるかたはぜひ。
おまけ。
僕の好きな保坂さんの本。
後者は続編だが独立して読めます。変な自由律俳句が出てくるところで爆笑。
谷川さんの本、枡野浩一の短歌も載せてくださっています。